平成１４年に朝日町で起こった竜巻は、わずかな時間に屋根瓦や車庫を壊すなど１２件の被害をもたらした。このときの竜巻の威力はどれほどだったのか。強さの段階を知ることで、竜巻に対する防災意識を高めたい。

　地震があったときに必ず使われるのが、揺れの大きさを表す「震度」という表現。同じように、竜巻にも強さを段階分けにした単位がある。１９７１年に、気象学者で米国の藤田哲也シカゴ大学名誉教授が提唱した「藤田スケール」だ。

　「Ｆ」は藤田の頭文字で、風速と建物の被害状況から竜巻の強さを求める。Ｆ０からＦ５までの６階級があり、数字が大きいほど強い竜巻になる。藤田スケールによると朝日町のケースでさえ、下から２番目のＦ１。先月、北海道の佐呂間町で発生した竜巻はＦ２かＦ３の規模だった。日本ではＦ４以上の竜巻が起こったことはないが、被害の程度からその恐ろしさがうかがえる。

　北海道佐呂間町の竜巻は内部に強い上昇気流と下降気流を持った巨大な積乱雲「スーパーセル」が原因だったが、富山でも起こる可能性はあるのだろうか。富山地方気象台（富山市石坂）の気象情報官、堀川和久さんは「可能性はゼロではない」と注意を促す。

　冬場の県内は、比較的暖かな海上の空気と大陸からの冷たい季節風がぶつかることで積乱雲が発生しやすい。特に明瞭（めいりょう）な寒冷前線があり、雷を伴った強い雨が降っているときは空気の対流が激しく、竜巻が発生してもおかしくない状態だ。ろうとのように下に伸びた雲を見掛けたときは竜巻の可能性もあるため、速やかに建物内に避難するように心掛けたい。

（2006年12月19日掲載）